絵画という物質

上海にて撮影
上海にて撮影

 

私達が老いるのは物質にこだわらないように、物質に執着しない

ようにそのために老化していくのだという話を聞いたことがあり

ます。確かに大切なのは物ではなく眼に見えないものだという主

張はよくわかります。

また、捨道(すてどう)の達人はいらないものはどんどん捨て、

本も他に回すなどばんばん処分し部屋も心も整理されクリアにな

ると言います。

 

ではある意味、物質にとことんこだわり絵画という物質を作って

いる状況はどう考えたらいいのでしょうか。

絵画は平面という2次元に限りなく近い存在であるとはいえ3次元

という物質以外の何物でもありません。

 

確かに表現方法としては映像、インスタレーション、パフォーマン

スなど非物質化傾向は多様性を増しています。もしかしたら絵画は

時代に逆行しているのかもしれません。

 

しかし、眼に見えない価値をいかに可視化するのか、その物質に横たわる理念、思想、哲学

をいかにその物質を通して浮かび上がらせるのか、その誘発材としての物質はその視覚イメ

ージとともにとてつもなく価値あるものになるのだと思います。

幸か不幸か私達は体という物質を持って生まれてきています。そしてその関係は精神と肉体

の関係にちょっと似ています。それが切っても切りはなせないように絵画とその理念もそん

な絡み合う関係と言えるのかもしれません。でも忘れてならないのは形あるものは必ずいず

れなくなります。

 

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コメント: 2
  • #1

    新人 (土曜日, 04 12月 2010 09:57)

    脳の活動をどういう風に、他人に伝えるかと云う永遠のテーマですね。
    難しくて面白い課題です!

  • #2

    丸田恭子 (月曜日, 06 12月 2010 00:39)

    新人さん、コメントありがとうございます!
    本当にそうですね、制作は精神活動の表れですものね。